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中小企業の法律問題の中で最も相談件数が多い分野のひとつが、従業員とのトラブル、すなわち労務問題です。
残業時間の問題、就業規則の不備、社員とのちょっとしたトラブルといった一見些細に思われた問題が、時に労働組合を巻き込んで経営の根幹を揺るがす大問題になることもあります。
労務トラブルは普段から事業主として問題意識を持ち、然るべきルールを定め、足下をすくわれないようにすることが最も効果的な対策です。
仮にそのようなルールが未整備な場合には、早急に専門家に相談し、体制を整えることが必要です。
また体制が不十分なために問題が顕在化してしまった場合には、問題の所在を的確に見極め然るべき処置をした上で、一刻も早く前向きなテーマに取り組むことが、会社にとっても社員にとってもベストな対応です。
従業員に労働審判を起こされた、労働訴訟を起こされたなどといった場合には、スピーディかつ、適切な対応が求められます。
労働審判制度とは、労働者と使用者の間の労働関係について裁判官1名と労使の専門家2名で構成する委員会(労働審判委員会)が3回以内の期日で審理し、調停による解決を試み、調停が成立しない場合には審判を行う制度です。
訴訟手続においては原告と被告との間で相互に主張がなされ、それぞれの主張を裏付ける書証の調べがなされた後、証人尋問が実施されます。
これらの過程を経て原被告双方の言い分のどちらが正しいか裁判所が心証を形成していくことになります。
解雇された労働者が、解雇の無効を争う場合、訴訟ですと1年程度かかる場合があります。
その間、労働者が賃金を得られないと生活に困ります。そこで、解雇した使用者に賃金の仮払いを強制する手続きが賃金仮払いの仮処分です。