転倒・転落による事故
日常で起こる事故のうち、比較的発生件数の多いものとして、通路・床面でのすべりや段差・突起物でのつまずきによる転倒があります。
また、高所での移動中や作業中に何らかの要因で転落し、重い怪我を負うというケースも、頻繁に発生しています。
単純な転倒であっても、足首や鼻の骨折、脳震盪による脳障害等の重大な傷害を負った場合にはそれについての治療費も高額になり、精神的苦痛も大きくなります。そのため、しっかりと被害報告を行い、正当な賠償を受ける必要があります。これらのケースでは、過失責任の所在の追及がもっとも重要となります。
転倒は室内・室外のどこでも起こりえますが、特に室内での転倒に対し施設管理者や財産所有者に訴訟を起こすケースが増えています。
実際にあった事案として、71歳の女性がスーパーマーケットで転倒し、複数個所の骨折、当初店側は自らの責任を全面的に否認しましたが、地裁が店側にその責任を認める、というものがありました。(岡山地裁平成25年3月14日判決)
この裁判では「アイスクリームの色が床面と馴染み、わかりにくかった」「他の客がアイスの食べ歩きをし、その一部が落ちていたことで、滑りやすくなっていた」などいくつかの争点が議論されましたが、判決の決め手となったのは「事故当日にアイスクリームの特売が行われており、店にはそれに伴う安全確保義務があった」ことでした。また、この判決では原告の過失相殺は20%となっています。
別の事案では、大型スーパーの店外階段が雪で凍っていたため、お客さんが転倒して受傷した事故があります。この事故について、裁判所は、大型スーパーの所有会社と管理会社に対し、凍った階段について、歩行者が足を滑らせないように安全性を確保して管理すべき注意義務があったにもかかわらず、そうした管理を十分に行わずに、階段に氷を付着させてお客さんに利用させた過失があったと認めました(札幌地裁平成11年11月17日判決)。この裁判では、お客さんにも大きな過失があったとして5割の過失相殺が認められています。
このように、転倒・転落による事故では多方面より現場の状況を検討すること、またその論理的な解釈とそれを正確に伝えるスキルが求められます。
まずは専門家にご相談されることをおすすめいたします。
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